研究概要 |
粒子径の異なるシリカオパールの作製: アルコール中でオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を加水分解するStober法を用いてシリカオパールを作製した。この方法を用いて作製したシリカオパールは界面活性剤を用いて作製したシリカオパールと比較して平均粒子径の範囲が100〜600nm程度と限定されるが、シリカオパール表面に界面活性剤などの不純物がほとんど存在せず、シリカオパールを鋳型として逆オパールを作製する際の粒子径に起因する構造欠陥を少なくできると考えられる。シリカオパールの粒子径は用いるTEOS、NH_3,H_2Oの濃度および温度に依存し、実験的な経験式に従い、平均粒子径100〜500nm、誤差範囲15%以内で任意の粒子径にコントロールすることができた。また、フォトニッククリスタルとして用いるためにはより高度に粒子径をコントロールする必要があるため、そこで、一度作製したシリカオパールをseedとしてさらにTEOS、H_2Oを加えることで、粒子径を増加させるseed growth法によるシリカオパールの作製も行った。それらを用いて自然沈降法および液面降下(界面降下)法により周期構造体(オパール構造)を作製し、SEM観察により内部、表面構造の解析を行い,構造の欠陥が少ない多結晶構造(マルチドメイン構造)ではあるものの,それぞれのドメイン内ではf.c.c構造を形成していることを確認した。 蛍光性ポリマー逆オパールの調製: 蛍光性ポリマーを直接シリカオパールの間隙に導入することを考慮し、有機溶媒に可溶な発色団を有するポリマーとして長いアルキル鎖を有するポリ-p-フェニレンビニレン(PPV)およびポリ(2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシロキシ)-p-フェニレンビニレン)(MEH-PPV)、ポリ[2-(7-H-9,9-ジヘキシルフルオレニル](1,4-フェニレンビニレン)(DHF-PPV)の合成を行った。また、PPVは前駆体ポリマーを用いる方法および電界重合法で、MEH-PPVとDHF-PPVは溶融注入法でポリマーを導入し、逆オパールを作製した。SEM観察により鋳型として用いたシリカパールの粒子径とほぼ等しい直径の球状の空隙が規則的に形成され,フォトニッククリスタルとしてf.c.c構造の格子点に空気球が存在する"air atom"構造を形成していることを確認した。 ポリマー逆オパールの光学特性: PPV、MEH-PPV、DHF-PPVの逆オパールについて透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定し、ストップバンドの角度依存性およびストップバンド幅を評価した。また、発光スペクトルを測定し、フォトニックバンド効果による発光スペクトルのディップを観測した。
|