本研究はSPSなどに利用可能な太陽光直接励起レーザーを開発するための基礎データを取得することを目的とする。レーザーの種類としてはヨウ素レーザーを選択し、光触媒の利用により高効率に太陽光励起するための基礎研究を行う。光触媒を用いた一重項酸素の生成にはいくつかの条件(気相、液相、光触媒の形状)が考えられるが、それらの比較を行うための基礎過程の解明と効率などの基礎的データの収集を本研究の目的としている。 本年度は文献調査により有望な光触媒の基本特性と励起酸素分子およびヨウ素分子とのエネルギー移動のメカニズムを調査し、光励起したフラーレンから一重項酸素の励起、それに続くヨウ素分子の励起過程がレーザー活性媒質として有効であるという知見を得た。 光触媒反応で生じた活性種(活性酸素など)が光触媒自身を酸化する場合があり、その機構と対策法を検討した。触媒の安定性を高めるために酸化中心となる正孔に対して電子を供給する方法を検討した。アルコールを助触媒として用いる方法が有効である可能性があり、現在その供給法について液中法、噴霧法などを検討中である。宇宙での応用を考えると反応は軽量な気相で行うことが望ましいが、活性種の挙動や反応効率なども検討し、適当な反応相の選択に資する知見を得る。
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