本年度は数値シミュレーションにより推定手法の検討を実施した。まず通常の波浪スペクトルをベースに波数方向スペクトルを与え、長波頂規則波の重ね合わせの原理で空間的に不規則波面を合成し、舶用レーダおよび光学写真による斜めから見た波浪画像を作成した。この場合光学画像は比較的容易にシミュレーション可能であるがレーダ画像については電磁波による後方散乱のメカニズム自体が必ずしも明確では無いので幾つかの説に対応したシミュレーションにより現実を説明出来るメカニズムを推定した。この波浪画像から不規則波面の変位、傾斜と波スペクトル、波傾斜スペクトルとの関係を調べ、方向波スペクトルの推定手法を提案した。この場合時間一空間の3次元スペクトルを求め、分散関係を導入することにより物体と波との区別が可能であることがわかった。なお電磁波は舶用レーダで使用しているXバンドの周波数のもの、すなわち波長が約3cmのものを考えている。また電磁波の入射角度(水面とのなす角度)は5度程度を想定している。
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