研究課題/領域番号 |
13875195
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千田 佶 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10005499)
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研究分担者 |
井上 千弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30271878)
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キーワード | トリクロロエチレ / 金属鉄 / 脱塩素反応 / 高機能化 / 汚染物質 / レメディエーション / 反応経路 / 中間生成物 |
研究概要 |
トリクロロエチレン(TCE)などの有害有機塩素化合物による汚染が深刻となっているが、その処理対策はいまだ決定的なものは開発されていない。鉄粉によるTCEの分解反応は、擬一次反応で進行し、エチレンにまで分解することが知られているが、その反応速度は小さいものである。本研究では、鉄粉の表面改質を行うことにより、より分解速度の大きな高機能化鉄粉を作成するとともに、作成した鉄粉による分解性を評価、検討することを目的とする。 本年度においては、鉄粉の改質方法および改質した鉄粉によるTCEの分解反応について検討を行った。その結果、鉄粉の改質としては、硫酸銅水溶液による処理がもっとも簡便であることが分かった。純水に鉄粉を懸濁させたところに、硫酸銅水溶液を滴下することにより、鉄粉表面において、鉄と銅の置換反応が生じ、鉄粉表面の一部が銅に置き換わる。このことは顕微鏡観察により、鉄粉の表面のところどころに銅が析出しているのが確認された。 濃度を変えた硫酸銅水溶液により置換反応を起こし、様々な置換率の高機能化鉄粉を作成し、TCE分解試験を行ったところ、置換率によってTCE分解反応速度に違いがあった。もっとも反応速度が大きくなる場合で、銅で置換することにより反応速度は10倍になった。この高機能化鉄粉では、TCEだけでなく、テトラクロロエチレン(PCE)やジクロロエチレン(DCE)においても、分解反応速度は大きく向上した。分解速度が向上する理由として、鉄粉表面に銅があることによって、鉄の溶解が進行しやすくなるとともに、電子の移動が活発に行われ、その結果として有機塩素化合物の分解速度が向上するものと推測される。 また、分解反応における中間生成物は、有害な物質の蓄積は生じず、エチレン、エタンといった無害な物質に変換されることが認められた。このことは反応経路を速度論的に解析した結果、証明された。
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