研究概要 |
本年度は,セルフアブレッシブキャビジェットの中心部分であるカッティングスの循環が実際に起こるかどうかを知るための二次元可視化実験とともに2個のノズルを有する切削システムを作製し,ノズル送りをしない条件での回転切削実験を行った.可視化実験から,カッティングスの循環はアニュラス部を上昇する水の流量と粒子の沈降速度の大小関係により決まり,大きいカッティングスは循環し,小さなカッティングスはそのまま上昇して排出されることを確認した.また,ボアホール底部に四角形の隅角部があるとそこにカッティングスが滞留することから,ボアホール底部隅角部は丸い方が有利であることが分かった.可視化実験から得られた知見をもとに,噴射角度が異なる2個のノズルを有する切削装置を設計・制作し,低速回転による岩石の切削実験を行った.その結果をまとめると以下のようである. 1)循環システムを有しない場合と比較すると,砂岩の掘削体積で35%,切削深さで10%,花崗岩の掘削体積で53%,切削深さで9%の性能向上が得られた. 2)ある程度のカッティングスが生成すれば,そのカッティングスが新たなカッティングスを生じさせて掘削性能が更に向上するというポジティブフィードバックが起こっていることが確認された. 3)アブレシブノズルにカッティングスが詰まると切削性能は著しく低下する.従って,アブレシブノズル径はある程度大きくする必要がある. 4)効果的な掘削を行うためにはスタンドオフディスタンスの選択が重要である.次年度に行う送り・回転切削では新たなカッティングスが連続的に生じるが,最適なスタンドオフディスタンスを選択するとともにノズルシステムが進行できる掘削形状にするためのノズル配置を設計する必要がある.
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