主要穀物であるイネでのターゲティング法確立と効率化に向けて、大腸菌の相同組換え遺伝子、RecQヘリケースをイネで発現させ、その機能解析を行いつつ、ターゲティング法への応用の可能性を考察した。RecQヘリケースはDNA修復時に二重らせん構造をほどく機能をもち、相同組換えの開始反応に重要と考えられる。そこでRecQ遺伝子がイネ・カルスでの相同組換えを促進するかどうかをボンバードメント法によって調べた。GUS遺伝子を559bpの相同領域をもつよう2つに分割してプラスミドを構築し、トウモロコシのAdh1(アルコール脱水素酵素)プロモーターにつないだRecQ遺伝子とともにカルスに導入し、一過性のGUS発現を調べたところ、RecQヘリケースが相同組換え頻度を約5倍引き上げることが観察され、同遺伝子がイネでのジーン・ターゲティングシステムの開発に極めて有効である可能性が示された。さらに用いるRecQ遺伝子および分割したプラスミドの組換え基質の量について詳しく調べたところ、イネ・カルスでは組換え基質量に比例してGUS発現が高くなり、RecQ遺伝子の組換え促進効果も基質量に比例して上昇した。RecQ遺伝子の導入量を増加すると3μg/μl以上では組換え促進から抑制の方向へ変化することが明らかとなった。また、RecQ遺伝子のイネのゲノムでの組換えに対する有効性を調べるため、Adh1-RecQ遺伝子を持つ形質転換イネ15系統作成した。しかしAdh1-RecQの転写をnothan法で調べたところ、RecQの発現のある形質転換イネはすべて不稔で、種子の得られた系統はRecQ発現のサイレンシングを生じている個体のみであり、ヘリケースの発現が減数分裂の異常を介して、イネの捻性に影響を与えていることが示唆された。
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