研究概要 |
本年度の研究目的とした「屋外生活環境における緑地の存在状況と,それらの場所でのUVBの強度との関係(木陰効果など)の明確化」に接近するため,以下の調査を実施した。 まず,UVB含む紫外線量の計測実験の対象地を選定するため,ある程度の量の人々が利用できる空地や交通用地であること,様々な状況の緑陰などが存在していること,計測機器を設置可能であることを条件とし,検討した。そこで,福岡市の小学校区を単位とし,様々な自然的要素の存在状況,土地用途や道路及び河川・海岸などを指標に市街地の特性を把握した。次に,各種都市施設や集客施設などの集積状況に従って各種の緑地の立地条件を比較・検討し,緑地の存在状況からみたタイプの検討を通じて計測実験の対象地を設定した。具体的には,大学キャンパス,近隣公園とした。 屋外環境における紫外線及び照度の計測にあたっては,計測機器の取り扱い方法の習熟と計測対象の特性を把握するための計測実験を行った。使用した機器は,紫外線計は英弘精機株式会社製MS-211-Iと,照度計はミノルタ社製T-10である。機器設置の高さについては,検討の結果地上約140cmの位置とした。次に,緑陰内・外での計測位置を設定するため,常緑樹下の緑陰に計測機器を設置し,紫外線量及び照度の計測を試みた。また,紫外線量の軽減を図る上で重要となる主な時間帯を把握するため,晴天時に早朝から日没まで計測実験を行い,顕著に紫外線量の多い時間帯のあることを認識した。しかし手動測定としたため,紫外線量及びUVBの積算時間の設定方法や天候の変化,季節変動への対応,また,合計4台の計測機器による測定を同時に進めるための工夫が課題となることが認識できた。次年度には,これらの課題に対応するための計測方法を設定し,緑地の配置の検討を通じて屋外で人々が曝されるUVBの受光量を軽減するための計画論的方法を探求する。
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