大腸菌によるRS224-1タンパク質(逆転写酵素)の大量発現系の確立を行った。鋳型となるRS224-1 ORFはnested PCRにより両末端にBamH1リンカーを付加して増幅した。得られた約2.7kbpの増幅産物をクローニングし、シークエンスを行い、得られた増幅断片がRS224-1 ORFであることを確認した。得られたRS224-1 ORFを大腸菌用のタンパク質発現ベクター、pET11a-RS224-1 ORFを作成した。 作成したpET11a-RS224-1 ORFを大腸菌BL21(DE3)-CodonPlusRILに導入し、37℃で培養後IPTGによって誘導をかけ、T7・Tag-RS224-1融合タンパク質の発現を試みた。不溶性画分、可溶性画分の両方に分子量約92kDaのタンパク質(逆転写酵素)が発現していることを確認した。 抗T7・Tag抗体結合アガロースビーズ充填カラムを用い、T7・Tag-RS224-1融合タンパク質の精製を試みた。T7・Tag-RS224-1融合タンパク質を発現させた大腸菌BL21(DE3)-CodonPlusRILの不溶性画分はSDS-PAGEで展開し、目的タンパク質を含むゲルを切り出し、SDSを含むTrisバッファーで溶出させた。溶出液はSDSを含まないPBSバッファーで透析した後、抗T7・Tag抗体結合アガロースビーズを充填したカラムに通過させた。低pHの溶出バッファー中には分子量92kDaのタンパク質が含まれ、本タンパク質は目的のT7・Tag-RS224-1融合タンパク質(逆転写酵素)であることをアミノ酸配列より確認した。 大腸菌BL21(DE3)-CodonPlusRILの可溶性画分に発現しているT7・Tag-RS224-1融合タンパク質について、逆転写酵素の活性を測定した。本タンパク質は逆転写酵素活性を示したことから、本方法によって逆転写酵素を大量に発現させる可能性が示唆された。
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