殺虫剤抵抗性とフェロモン感受性に関する研究を行うため、遺伝的背景を一にする殺虫剤感受性および抵抗性系統を育成する必要がある。コナガを材料とし、アセタミプリド、フェンソエートおよびクロルフルアズロンなどの殺虫剤での葉浸漬法により、淘汰実験を行い抵抗性系統を育成中である。アセタミプリドに対しては50倍-100倍程度の抵抗性系統が育成できたため、アセタミプリド感受性および抵抗性系統を用い、生態的適応度について調査した。コナガにおいては、アセタミプリド抵抗性は不安定であることを既に明らかにしている。アセタミプリド抵抗性系統では成虫の寿命が感受性系統より長かった。抵抗性系統では感受性系統に比べ産卵数が少なかったが、孵化率が感受性系統より高く、幼虫発育期での死亡率が感受性系統より少なかったことから、生態的適応度については、両系統間で有意差はないと考えられた。一方、雌に対する雄の交尾競争力を比較したところ、アセタミプリド抵抗性系統の雄の交尾競争力が感受性系統の雄に比べ有意に高いことが明らかとなった。この現象に雄の性フェロモン感受性が関与しているのか、雌のフェロモンの生産能力あるいは雌のフェロモンの構成成分比、あるいはフェロモン放出のリズムなどが関与しているかどうかについては現在、調査中である。 0111576FA01 00012殺虫剤抵抗性
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