殺虫剤抵抗性以外の遺伝的背景を一にする殺虫剤感受性および抵抗性系統を育成するため、2001年春神戸市で採集した野外系統コナガからキチン合成殺虫剤クロルフルアズロン感受性および抵抗性系統を育成した。10数世代に渡る室内淘汰の結果、クロルフルアズロンに対する抵抗性は300倍程度を示した。しかし、昨年9月、本系統を飼育していた飼育装置の故障により、本系統は全滅してしまい、クロルフルアズロン感受性および抵抗性系統間で、性フェロモンに対する感受性に違いがあるという、予備的なデーターしか得られなかった。1999年春、愛知県豊橋市で採集したコナガ、並びに2001年春に神戸市で採集したコナガ用い、ネオニコチノイド系殺虫剤アセタミプリド感受性および抵抗性系統の育成を試みた。豊橋系は、採集以来、4年以上に渡って淘汰を行ったが、抵抗性比としては20〜30倍であり、必ずしも高くはなかった。神戸系統は、研究期間の終了間近になり、100倍程度の抵抗性比を示すようになったが、研究成果としては今後を待たなければならない。抵抗性比が余り高くない豊橋系統の実験結果から、アセタミプリド感受性と抵抗性系統コナガでは交尾の日周リズムに違いがあること、雄の交尾競争力は殺虫剤抵抗性系統で強かった。これらの現象が殺虫剤抵抗性とどのように係わっているかは、更に研究を続けなければ、結論を引き出せないと考えられた。
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