我が国における水稲のカドミウム汚染は深刻であり、その軽減対策は緊急を要する研究課題の1つであり、これまでも排土客土、水管理、土壌管理、資材投入などを通して精力的に研究が行われてきた。これらの中で、多孔質ケイ酸カルシウムの大量施用によるカドミウム吸収抑制効果は極めて簡便、かつ実用的な方法である。本研究では多孔質ケイ酸カルシウム(ALC)による水稲のカドミウム吸収抑制機構を解明するために1)黒ボク土の可給態Cdの評価法2)土壌によるCdの吸着および脱着に対するALCの効果3)ポット栽培水稲のCd吸収に対するALCの抑制効果を検討した。 その結果、(1)土壌の可給態Cdの公的測定法である0.1MHCl抽出法(土壌と抽出液=1:5)は、沖積砂壌土では有効であったが、黒ボク土では可給態Cdを過小評価すること、この比率を1:20にすれば黒ボク土でもほぼ満足できることを明らかにした。(2)土壌によるCdの吸着は沖積砂壌土より黒ボク土で大きいこと、ALCの吸着抑制効果はシリカそのものとの反応よりpH上昇効果が大きいこと、(3)ALCの大量施用(5-20ton/ha)でCd汚染水田における水稲のCd吸収を顕著に抑制することを明らかにした。また重金属汚染土壌のバイオリメディションによる改善法と改善効果について文献的レビューをおこなった。
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