霞ヶ浦内水面水産試験場より入手したハクレンの消化管内容物を材料にして、アオコの代表的菌種であるMicrocystis viridisに対する殺活性を示す微生物、M.viridis細胞壁成分を資化できる微生物の検索を行った。 その結果、多数の細菌を分離することに成功した。それらについて16S rDNA解析による菌種の同定を行ったところ、Aeromonas属細菌が大半を占めていたが、他の属の細菌も分離されていることが明らかとなった。また、M.viridisに対して殺活性を示した細菌は、すべて細胞壁成分の資化能も有していた。 殺活性を示したAeromonas属細菌14株について、培養上清の殺活性を検討した結果、すべての株が構成的に殺活性物質を培養液中に産生していることが明らかとなった。また、培養上清の加熱処理によって殺活性が消失したことから、殺活性物質はタンパク質(溶藻酵素)であるものと推定された。 また、すべての株の培養上清が、M.viridis以外のアオコ形成藻類であるM.aeruginosaやPhormidium tenueに対しても殺活性を示した。 殺活性が最も高かったA.hydrophila B13株の培養上清から溶藻酵素の精製を試み、イオン交換、ゲルろ過により、SDS-PAGEで単一バンドとなるまで精製できた。その結果、アオコ溶藻酵素は、分子量約24kDaの単量体であることが明らかとなった。
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