研究概要 |
イッテルビウム(Yb)高集積能を有するStreptomyces sp, YB-1株によるYb集積特性について検討を加えた。各種の金属イオンに対しては3価Feも菌体により蓄積されたが、FeによるYbの蓄積阻害は観察されなかった。また、種々の金属イオン共存下では、2価Cuイオンの存在下でYb蓄積量がおよそ2.5倍上昇した。pH7.0までは高い吸着能を示したが、pH7.5以上では急激に吸着能が減少した、これはアルカリ側でYbが水酸化物となり、不溶化したためと考えられた。pH5.5から6.0がもっとも高い吸着能を示した。温度については、30℃までほぼ直線的に吸着量が増加し、30℃以降はほとんど同じであった。12種のカチオン共存下におけるYb及びカチオンの吸着量を調べた結果、吸着量の多いものから、Yb>>Cr(III)>V>A1>Na>Cu>>K>>Mg>Cd>Caの順で、MnとZnの吸着量はICP分析の測定限界以下であった。また、一旦細胞に吸着したYbは種々のカチオンの添加によってはほとんど遊離せず、Ca及びCdにより20%程度遊離したのみであった。Yb非存在下で培養した菌体の休止細胞による乾燥菌体当たりのYb吸着量は、増殖菌体の吸着量の20分の1程度で、増殖時にYbが存在するとYb吸着量が著しく増加することが判かった。この結果から本菌によるYB吸着能はYbにより大きく影響を受けることが明らかとなった。次に、Streptomyces sp.YB-1株はYbのみならずすべての希土類元素に対して吸着能を示すことから、希土類元素に対する吸着特異性の高い微生物の探索を行った。その結果、軽希土類元素であるLa及び中希土類元素であるEuをあまり蓄積せずYbを特異的に蓄積する放線菌の分離に成功した。この結果は、物理化学的性質が極めてよく似ている希土類元素をこの放線菌が個々の希土類元素を認識している可能性を示している。本菌はStreptmyces sp.と同定された。本菌はLuも吸着することから、重希土類元素を選択的に吸着する能力を有している可能性がある。本菌の細胞膜画分は、Ybの吸着-EDTAによる溶離の反復使用が可能であった。
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