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2001 年度 実績報告書

新規なリグニン分解法による木材およびクラフトパルプ中の全リグニンの構造解明

研究課題

研究課題/領域番号 13876039
研究種目

萌芽的研究

研究機関京都大学

研究代表者

中坪 文明  京都大学, 農学研究科, 教授 (10027170)

キーワードリグニン / β-Ο-4構造 / 無公害、高選択性、高収率パルプ化法 / TIZ解法 / モデル化合物 / Eucalyptus globulus / Pinus taeda / α位の結合
研究概要

本研究は、リグニンの主要構造であるβ-Ο-4構造の、温和で選択性の高い新規な分解法として申請者が独自開発したTIZ法を木材及びクラフトパルプ中のリグニンの構造解析に適用し、特に現在まで、さほど注目されなかったが極めて重要な、リグニンの側鎖α位の置換基様式を解明し、その結果に基づいた新規な環境を配慮した無公害、高選択性、高収率パルプ化法の創製を目指すものである。TIZ分解法はトシル化(T)、ヨード化(I)、亜鉛処理(Z)の三段階の反応を経てβ-Ο-4構造のみを分解する方法であるが、各反応段階の再現性の問題などがあり最適条件には達していなかった。
そこで、本年度はまず、1)リグニンのモデル化合物を用い各反応段階の最適条件を見い出し、次いで2)確立された反応条件下での磨砕リグニンの分解について検討した。その結果1)については、各反応段階を定性的にはTLC、定量的には^1H-NMRによって追跡した結果、トシル化はTsCl(5 eq. )/Pyridine/r.t. /7h、ヨード化はKr(5 eq. )/DMF/100℃/6h、亜鉛処理はZn(10倍重量)/dioxane-H_2O/2hでの反応条件で各段階が定量的に進行することを見い出した。2)については、1)で得られた結果に基づいて、ユーカリ(Eucalyptus globulus)およびロブロリーパイン(Pinus taeda)の磨砕リグニンの分解を試みた。その結果、β-Ο-4構造由来のC_6-C_3分解物が予想通り得られた。しかしながら、その定量値は期待された値(リグニンの約50%がβ-Ο-4構造であるとして計算した値)より遥かに低いものであった。これらの結果は、1)期待された分解が定量的に進行しなかった、2)本TIZ法ではα位の結合(エーテル結合など)の多くが分解しなく、例えβ-Ο-4構造が開裂してもモノマーとして同定出来なかった。3)天然リグニン中のβ-Ο-4構造は従来言われているように50%も存在しない、の3つの可能性により説明される。次年度ではこれらの点を明確にする事が重要である、との結論に達した。
また、本年度偉世界情勢が不安定であったため、アメリカヘの訪問は中止したが、次年度は本年度得られた結果について、North Calorina State UniversityのHou-min Chang教授を訪問し、本研究の結果と将来について議論することが肝要である。

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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