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2002 年度 実績報告書

セルラーゼの起源―セルラーゼによるセルロース生合成の修復に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13876040
研究機関京都大学

研究代表者

林 隆久  京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (70231529)

キーワードセルラーゼ / セルロース合成 / ポプラ / セルロース合成菌 / 2,6-dichlorobenzonitrile
研究概要

ポプラのセルラーゼは、セルロースの生合成が活発なところで発現し、細胞壁セルロースミクロフィブリル表層の準結晶性部分を分解した。シュクロースによって誘導され、そこにオーキシンを添加することによって更に強く発現されるようになった。シュクロースはシンクの場において、シュクロースシンターゼによってセルロース合成酵素の基質UDP-グルコースに変換される。すなわちシュクロースは、セルラーゼを誘導するとともに、セルロース合成の基質となることから、分解と合成が一致していた。加えて、セルロース生合成阻害剤(2,6-dichlorobenzonitrile)によってもセルラーゼの発現が抑えられた。
セルロース合成菌(Acetobacter xylinum)を使って、セルロース合成酵素オペロン近傍のセルラーゼ遺伝子を破壊するとセルロースは合成されなくなった。この変異体に再びセルラーゼ遺伝子を入れてコンプリメンテーションを行うと、再びセルロースが生産された。
生体高分子の生合成には、必ず間違いが生じる。そこで、それを修復するシステムが必要となる。DNA合成の間違いを修復するDNAポリメラーゼI、RNAのスプライシングを触媒するRNA、タンパク質のプロセシングを行うプロテアーゼやコンフォメーションを整えるシャペロンもこれらの類のものであろう。地球上で、植物は光合成によって炭素をセルロースとして固定している。固定されたセルロースは、細胞を包み込み、細胞の形・サイズを決定するための重要な生体高分子である。従って、全ての植物は、合成されるセルロースを修復しながら細胞壁骨格成分として蓄積していると結論した。

研究成果

(7件)

すべて その他

すべて 文献書誌

  • [文献書誌] Y.W.Park, R.Tominaga, T.Hayashi: "Enhancement of growth by expression of poplar cellulase in Arabidopsis thaliana"Plant Journal. 33. 1099-1106 (2003)

  • [文献書誌] Y.Ohmiya, T.Nakai, T.Hayashi: "The role of PopCel1 and PopCel2 in poplar leaf growth and cellulose biosynthesis"Plant Journal. 33. 1087-1097 (2003)

  • [文献書誌] Y.Ihara, F.Sakai, T.Hayashi: "Transferase activity of GhCesA2 (putative cotton cellulose 4-β-glucosyltransferase) expressed in Pichia pastoris"Journal of Wood Science. 48. 425-428 (2002)

  • [文献書誌] T.Takeda, Y.Furuta, T.Hayashi: "Suppression and acceleration of cell elongation by integration of xyloglucans in pea stem segments"Proceedings of National Academy of Sciences USA. 99. 9055-9060 (2002)

  • [文献書誌] 林 隆久: "植物細胞の形づくりはキシログルカンの組み込みによって決定される"日本農芸化学会誌. 76. 957-961 (2002)

  • [文献書誌] 林 隆久: "植物はなぜセルラーゼを必要とするのか?"植物細胞工学シリーズ. 17. 204-207 (2002)

  • [文献書誌] 片山義博, 桑原正章, 林 隆久: "木材科学講座11バイオテクノロジー"海青社、大津. 197 (2002)

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公開日: 2004-04-06   更新日: 2016-04-21  

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