研究概要 |
本年度は、濾材とそれに組み合わせる枯草菌株を複数用い、ふ化後10日目から65日目までの流水飼育区との比較試験を行った。循環区では29〜112回転/日となるように水中ポンプで循環させ、流水区では0.5〜20回転の流量で流水飼育した。試験は生残や成長などめ飼育結果や飼育水の水質および細菌相を比較した。各試験区には日齢10日目の仔魚約1,000尾を収容して試験を開始し、途中日齢41日目に全尾数を取り上げ、各区とも400尾に飼育尾数を調整し、さらに試験を続けた。各試験区とも3日おきに海水を、6目おきに仔稚魚を定期的にサンプリングした。海水は水質分析と水中の細菌の分離を行い、仔稚魚は全長測定を行った。 全体的に、流水区が生残および成長においてやや優れたが、これは初期の飼育密度をどのくらいに設定するかということにも関係しており、実際の種苗量産ベースにおいても飼育密度はやや低い。もう少し飼育密度を下げれば、飼育成績では流水区と遜色なくなると考えられる。現在水質について、3態窒素およびリン酸態リンを定量しているところである。定量結果を見た上で、システムの改良や飼育密度の設定を行いたい。今回新しく導入した枯草菌株は、既に使用していたものより有機物分解能力に優れているようで飼育水の透明性に優れていたが、飼育実験後半には溶存酸素の低下が著しくなり、稚魚の摂餌も低下した。純酸素による曝気などの対策が不可欠と考えられた。
|