研究課題/領域番号 |
13876049
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
神谷 久男 北里大学, 水産学部, 教授 (80011964)
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研究分担者 |
小池 一彦 北里大学, 水産学部, 講師 (30265722)
神保 充 北里大学, 水産学部, 講師 (10291650)
酒井 隆一 北里大学, 水産学部, 助教授 (20265721)
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キーワード | 共生藻 / 形態制御 / 運動抑制 / コッコイド |
研究概要 |
共生渦鞭毛藻Symbiodiniumの自由生活ステージから共生ステージへの形態変化を引き起こす物質を検索するために、様々な海洋生物抽出物のスクリーニングを行った結果、海綿Theonella sp.の抽出物に、Symbiodinium CS-156培養株の増殖に影響を与えずに形態を共生ステージに変化させ、その状態を持続させる活性を見出した。今年度はTheonella中の活性成分の性状解析を目指し、(1)分子量分画、(2)加熱安定性、(3)SephadexLH-20ゲルクロマトグラフィー上の挙動、(4)タンパク分解酵素耐性、(5)有機溶媒分画を行い、活性成分の挙動を精査した。 セントリコン(分子量分画限界20,000ダルトン)を用いる透限外ろ過で分画し、形態変化を誘起する活性成分の挙動を追跡したところ、活性は高分子画分にのみ認められた。また、高分子画分にはウサギ血球に対する凝集活性と溶血活性とが認められた。一方、抽出物を80℃、2時間加熱した後でも、活性が残存することが確認された。そこで抽出物を蒸留水を展開剤とするSephadex LH-20ゲルろ過クロマトグラフィーに付したところ、Symbiodinium形態制御活性は血球に対する活性を示さない低分子溶出画分にのみ見出された。また、トリプシンなど3種のプロテアーゼで37℃、1時間処理したが、とくに活性の変化は認められなかった。次いで抽出物をアセトンあるいはメタノール可溶性画分と沈澱画分とに分画して活性を調べたところ、活性はすべて有機溶媒可溶性画分に認められ、高分子画分からなると考えられる沈澱は活性を示さなかった。これらの結果から、Theonellaの活性本体はシゲミカタトサカレクチンSLL-2のような高分子成分ではなく、限外濾過膜を通過しないものの低分子成分であると推測せれた。現在、メタノール可溶性画分をSephadx LH-20によるカラムクロマトグラフィーで分画し、各画分の活性とNMR測定を行い、活性本体の性状検索を継続中である。
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