研究概要 |
本研究は、農村地帯における農業排水の再利用や廃堰の水質改善、河川への負荷軽減を目的として、青森県特産であるが貝殻の処理に困っているホタテ貝殻を接触ろ材に用いた水質浄化の可能性と実用化について検討するものである。 2年目の今年度は、学内実験用として浄化水路(長さ6.2m、幅12cm、高さ12cmのアクリル樹脂製循環水路、ホタテ貝殻約1,100枚設置)を作成し、基礎実験を行った。その結果、現在まで行った9事例についてまとめると5時間後COD:14%、T-N:16%、T-P:19%、20時間後ではCOD:20%、T-N:23%、T-P:37%の浄化率を示し、小規模水路でもかなりの効果があることを確認した。ただし、水槽内(容量651,約150枚)での浄化実験に比較するとその効果が幾らか少なかった。今後異なる地域の素材を用いた浄化実験を行いたいと考えている。 現地排水路での浄化実験は同一規模の水路を用い2カ所で行った。実験区間長約40m(水路幅80cm、高さ80cm)にホタテ貝殻を入れた篭(50cm*50cm*15cm)を50基(合計20,000枚)設置した。調査は4月下旬から毎週一回の定期調査(合計28回)を行い、上・下流の水質濃度を分析したが、滞砂やごみの堆積のため思うような浄化効果を示さなかった。そこで、ごみ等を除去した後で実験区間上流部にスクリーンを設置し、24時間集中調査を行った結果、上流側の宅地から生活雑排水が混入するA地区では接触時間100-600秒でCOD:5%、T-N:9%、T-P:10%の平均浄化率を示した。既存の水路では滞砂やごみの対策が重要である。 次年度は学内基礎実験に加え、本実験の結果を基に青森県が新たに建設した浄化水路を使用し現場におけるホタテ貝殻を用いた水質浄化の実験を行い、浄化効果や接触時間(浄化水路の規模と処理水量を含む)と浄化率の関係を明らかにしたいと考えている。
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