研究概要 |
精子細胞膜にマイクロドメインが存在し,それが精子と卵の相互作用で機能している可能性を見いだすことを目的として研究を行い,以下のような結果を得ることができた。 1.マウス精巣上体尾部精子を1%トリトンX-100中で抽出した後にショ糖密度勾配遠心を行い,低密度の界面活性剤不溶性膜(マイクロドメイン)画分を調整し,SDSポリアクリルアミド電気泳動後のウエスタンブロット分析を行った。精子アクロソーム中に局在するアクロシンやsp32はトリトンX-100可溶性画分に見いだされたが,膜タンパク質であるADAM2やADAM3では一部が,またGPIアンカータンパク質であるPH20はすべてがマイクロドメインに存在していることが明確となった。 2.精子の受精能獲得前後でのマイクロドメインの変化を調べ,受精能獲得にしたがいマイクロドメインが精子赤道部から先体部へと徐々に移行することも明らかとなった。 3.精子の卵透明帯通過に関与すると考えられるTESP5も,大部分が活性型としてマイクロドメインに存在していた。 以上の結果から,精子マイクロドメインに含まれるタンパク質を同定できたが,今後はこれら個々のタンパク質がどのようにクラスターを形成しているかについて調べていきたい。
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