研究課題/領域番号 |
13877001
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
加地 隆 弘前大学, 医学部, 教授 (00001876)
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研究分担者 |
鈴木 礼子 弘前大学, 医学部, 助手 (90333723)
渡邊 誠二 弘前大学, 医学部, 助手 (10241449)
小亀 圭司 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (90003491)
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キーワード | 松果体除去 / メラトニン投与 / 出産仔数 / 性周期 / 性比 / Sry gene / 脳の発達 / メラトニン受容体 |
研究概要 |
ヒトと同様に生殖活動に季節変動の見られない雌性ラットで、松果体からのメラトニンの有無は加齢と関連して生殖機能、その胎仔・乳仔の発達および出産仔の性比にいかなる影響を及ぼすかを検索した。 1.出産仔数:対照母と比較して松果体除去(PX)母からの出産仔数は、90〜100日齢の初産時に多く、以後の齢期では初産と2回目以後とに拘わらず差がなかった。又、生後1年以後の中年期で対照母に時々見られる出産仔数の著しく少ない例はPX母では非常に少なかった。 2.性周期:生後17〜19か月の中年から老齢期で、一般に対照ラットでは4日周期が崩れて発情間期・発情期が極めて低頻度にしか見られないのに対し、PXラットでは4日周期を示す場合が多かった。このPX効果はメラトニン投与により逆転することを確認する実験を進めている。 3.出産仔の性比:予備実験で繰り返し雄性仔をより多く出産したPXラットの仔から近交系を作ってその子孫を調べたが、同様の現象は起こらなかった。しかし、大量のデータを解析した結果、性比(雄:雌)は一般に1.0前後であるが、生後6か月以前の交配例よりも7か月以後の交配例で高い傾向があり、特に注目すべきことにPX母群で0.9から1.4へと明瞭な増加を示す(P<0.03)ことがわかった。現在、この事実を確認すべく更に多くの例について観察を続けている。 4.3と関連して、遺伝子的性と性器の肉眼所見とがどの程度一致するかの検討をするため、sry geneをFISH法で、またFISH法は高価で大量の検体処理には不適当なため、キナクリン法によるY染色体の検出のための条件の検討を行なっているFISH法によるsry geneの検出には成功している。 5.PX母からの出産仔に無尾症などの奇形をもつ例を見出した。 6.脳の発達:PX母からの新生仔の脳の水分含量は対照母からのものよりも減少し、逆に乾燥重量は増加した。しかし、離乳期に近づくにつれて、PX母からの乳仔の脳水分含量はむしろ増加したり、変化なしの状態へと移行した。つぎに、脳内の部位について、メラトニン受容体サブタイプを含め種々の化学的物質の増減などについて検討を進めている。メラトニン受容体サブタイプの免疫組織化学的検出は現在世界中でできておらず、カナダの研究者との協同研究で化学的検索を進めている。
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