研究概要 |
平成13年度には神経ペプチドであるノシセプチンに関する以下の研究を遂行した。 (1)疼痛情報伝達の分子機構を明らかにする目的で脊髄後根神経節におけるノシセプチン及びノシスタチンによる調節機構の有無を検討し、両者による情報伝達を見い出した(Ahmadi et al. Mol. Pharmacol. 59, 612, 2001)。また、脊髄神経節におけるノシセプチンの情報伝達は疼痛閾値を低下させる効果があることを見い出した(Inoue et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 299, 213, 2001)。 (2)J-113397とRo64-6198と命名された非ペプチド系の低分子薬物が高い選択性を示し試験管内および個体レベルでノシセプチン受容体における拮抗作用を有することを明らかにすると共に、個体投与における簡単な薬理作用についても検討を加えた(Ichikawa et al. Neuroreport. 12, 1757, 2001 ; Higgins et al. Neuropharmacol. 41, 97, 2001)。 (3)聴覚伝達ではノシセプチンによる抑制調節を行っていることを我々は既に報告したが、その調節の脳内部位については不明である。脳幹部の聴覚中枢において選択的な神経細胞のみにノシセプチン前駆体mRNAが発現することを見い出した(Kakimoto et al. Neurosci. Lett. 314, 37, 2001)。
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