研究概要 |
1.胃MALTリンパ腫および胃炎と健常者の末梢血より単核球を分離し、IL-4とGM-CSFを加えた培養液中に各種抗原を加え一週間培養した。抗原にはrHSP60とH.pylori抗原を用い、培養後、FACScanによりCD40陽性細胞におけるCD40Lの発現を比較した。またELISAにより培養上清中のIFN-γとIL-4の濃度を測定した。その結果、rHSP60の抗原刺激で、CD40Lの発現とIL-4の産生はMALTリンパ腫患者のみ、IFN-γの産生は胃炎患者の4/4と健常者の2/4で認められた。このことから、H.pyloriのHSP60抗原刺激下のCD40L発現及びサイトカインに対する反応性の差が、胃MALTリンパ腫発生に関与していることが示唆された。 2.H.pylori HSP60に対する単クローン抗体を作製し、その特異性を明らかにした。現在免疫組織学的検索に使用可能かどうか検定中である。 3.HSP60は末梢血中ではTリンパ球の一部と単球の大部分に発現し、マイトゲンで刺激すると、T, B, NK細胞における発現率と発現量が著しく増強することを明らかにした。反応性リンパ組織では芽中心及び濾胞間のマクロファージとリンパ芽球の胞体内に発現していた。 4.H.pyloriを感染させたマウスにHSP60を粘膜免疫すると、1ヶ月で胃炎が発症し、免疫をしないコントロールマウス群より、明らかに炎症が強く出現した。血中の抗体価を調べると、炎症の強いマウスでは、HSP60や菌体に対するIgG抗体価が上昇していた。また脾臓リンパ球をHSP60で刺激するとIFN-γのmRNA発現が認められた。
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