テーラーメイド医療やゲノム創薬に欠かせない情報としてSingle nucleotide polymorphisms (SNPs)が注目されており、その検出法も様々なものが考案されている。しかし、それらの多くは手技が煩雑であったり、高価であったり、高額な特殊機械を必要とするものである。我々は、SNPsが臨床応用されるためには、タイピング法が一般病院で行えなければならないと考えている。そのためには検査自体が簡便、安価でなければならないと考え、本研究は複数のSNPsをhigh-throughputかつ簡便に検出する方法として、フローサイトメトリーを用いた検出法を確立することをめざしている。現時点において表面に短い合成DNAを固定させた直径5μm〜15μm程度のビーズを用いて、合成DNA中のSNPsを検出することに成功した。具体的にはビーズ上に固定したオリゴヌクレオチドプローブと完全に蛍光標識したサンプルDNAをハイブリダイズさせる。このときサンプルDNAがビーズ上のプローブDNAと完全に相補的であれば、両者は結合し、ビーズが蛍光を発することになる。相補的でなければビーズは蛍光を発さない。この蛍光量の差をフローサイトメーターで計測し、サンプルDNA中のSNPsの有無を検出することができた。(平成13年度、第60回癌学会にて報告。)同様のことは臨床現場への応用を目指して健常人ボランティアのDNAを用いた検討においても、可能である。今後は複数箇所のSNPsを同時に検出できる方法を検討していく予定である。
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