研究課題/領域番号 |
13877039
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
太田 伸生 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (10143611)
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研究分担者 |
川口 仁 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80117811)
鈴木 高史 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (70305530)
丸山 治彦 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (90229625)
岡野 光博 岡山大学, 医学部, 助手 (60304359)
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キーワード | 日本住血吸虫 / 糖鎖 / 糖鎖修飾 / 点鼻感作 / IgE / 好酸球 / 高応答性 / 鼻粘膜リンパ球 |
研究概要 |
住血吸虫感染において、ヒトおよびマウスでは虫卵抗原に対してTh2型の免疫応答が誘導されるメカニズムとしてマンソン住血吸虫卵抗原(SmSEA)を構成する糖鎖がTh2型の免疫応答の成立に促進的に関与している可能性を検証した。その仮説の妥当性が明らかになってきたことを受けて、今年度の研究では、合成糖タンパク抗原を用いることにより、SEAを構成する糖鎖のうちLacto-n-fucopentaoseIII(LNFPIII)がその中心的な作用を担っていることをSmSEAについて明らかとした。 一方、日本住血吸虫およびその虫卵抗原(SjSEA)に関しては、糖鎖構造は明らかでなく、さらに構成糖鎖の機能的解析は現在までのところ皆無である。そこで我々は、SjSEAを構成する糖鎖の機能解析のために、マウスSjSEA点鼻感作モデルの作製を試みた。SmSEAに対してはBALB/cが高応答系であり、点鼻感作によって特異的IgE産生および鼻粘膜内好酸球浸潤が誘導される。一方C57BL/6は低応答系であり、同様の点鼻感作を行っても特異的IgE産生および鼻粘膜内好酸球浸潤は誘導されない。 そこで、1回あたり0.05mgあるいは5mgのSjSEAをBALB/c、CBA/J、C57BL/6の3系統のマウスにアジュバントを用いず繰り返し点鼻感作した。その結果、C57BL/6マウスにおいて血清総IgE量の増加、SjSEA特異的IgEおよびIgG1抗体の産生を認めた。さらに鼻粘膜リンパ球はSjSEA刺激に対してTh2型サイトカインであるIL-5の産生を示した。一方BALB/CおよびCBA/JマウスにおいてはこれらTh2型の抗体産生およびサイトカイン産生を認めなかった。同じ住血吸虫卵抗原であるSmSEAとSjSEAで高応答系が異なる現象を確認した。そのメカニズムの根底に糖鎖が関与しているとの仮説の下に、今後SjSEAの糖鎖分析を行い、さらにその糖鎖改変抗原を用いた点鼻感作実験などを行うことが次年度の課題となる。
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