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2002 年度 実績報告書

幼若Tリンパ球の「無の選択」から探る新しい細胞内遺伝子産物感知機構

研究課題

研究課題/領域番号 13877049
研究機関徳島大学

研究代表者

高濱 洋介  徳島大学, ゲノム機能研究センター, 教授 (20183858)

キーワードTリンパ球 / 細胞分化 / 胸腺 / TCR / アポトーシス / 抗原受容体 / 正と負の選択 / コドン
研究概要

Tリンパ球の分化途上において、TCR遺伝子の再構成に失敗し抗原受容体を発現できない細胞クローンがどのように排除されるのか明らかにすべく、TCRα鎖V遺伝子断片とJ遺伝子断片のあいだでおこる再構成エクソン間結合部位の構造をImmunoscope法により解析した。その結果、正常マウスのCD4+CD8+胸腺細胞では成熟Tリンパ球と同様に、TCRα鎖mRNAのコドンフレーム適合性が確立していたが、TCR-Cα遺伝子欠失マウスの幼若CD4+CD8+胸腺細胞のTCRα鎖mRNAはV-J間コドンフレーム適合性が全く確立されていなかった。これらの結果から、幼若Tリンパ球には、全長のα産物を合成できコドンフレームの適合したmRNAが優先的に蓄積される能動的過程が存在することが示された。この時、TCR-Cα欠損マウス同様「正と負の選択」を欠損した、TCRリガンドMHC欠損マウスやTCR信号伝達分子ZAP-70欠損マウスのCD4+CD8+胸腺細胞、更にはTCRα鎖と会合してTCR分子を構成するTCRβ欠損マウスのCD4+CD8+胸腺細胞では、TCR-Cα遺伝子欠失マウスと同様CD4+CD8+胸腺細胞期で分化が停止しているのにも関わらず、正常マウスのCD4+CD8+胸腺細胞と同じく完全なTCRα遺伝子再構成におけるコドンフレーム適合性の確立が見られた。これらの結果から、TCRα遺伝子再構成におけるコドンフレーム適合性確立は、TCR信号に従った「正と負の選択」の不在下で正常に見られ、α産物の合成を要するのにかかわらずβ産物は全く不要であることが明らかになった。すなわち、(1)既知の「正と負の選択」とは独立した、TCRα発現の成功・不成功に基づいてTCR発現失敗クローンを排除する分化制御機構が存在し、(2)この制御はTCRβ鎖との会合に依存しないα産物センサー機能によって担われていることが示唆された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Ueno, T., et al.: "Role for CCR7 ligands in the emigration of newly generated T lymphocytes from the thymus"Immunity. 16. 205-218 (2002)

  • [文献書誌] Akamatsu, Y., et al.: "Deletion of the RAG2 C-terminus leads to impaired lymphoid development in mice"Proc. Natl. Acad. Sci. USA.. 100. 1209-1214 (2003)

  • [文献書誌] Ueno, T., et al.: "In Basic Cell Culture Protocols"Humana Press, NJ, USA(in Press). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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