研究概要 |
本研究は、ライフスタイルに依存する個々人のストレス度(健康度)を遺伝子の酸化損傷リスクで客観評価するために、「ライフスタイル因子と尿中に排泄されるDNAの酸化損傷由来産物(8OHdG)との相関を導き出す事」をその主な目的としている。 <対象>A社健康診断受診者(282名)、Bクリニック人間ドック受診者(57名) <測定項目>一般健康診断項目(性別、年齢、身長、体重、血圧、血液生化学)以外に、尿中の8OHdG,、dG,、NOx、クレアチニン、尿中アルブミン量等を測定した。 <アンケート項目>一般問診以外に、」睡眠時間、労働時間、食習慣、飲酒、喫煙、運動等のライフスタイル因子の調査、及び検体採取前24時間の実際の生活調査を実施した。 <主な測定データ>尿中8OHdG濃度:262.6+65.1ng/ml、尿中dG濃度:13.8+2.8μg/ml、尿中NO3-濃度:4490.7+659.6μmol/L、尿中アルブミン濃度:25.77+9.7μg/ml、尿中クレアチニン濃度:162.2mg/dl等であった。 <考察及び今後の展開>今回最も重要な指標となる8OHdG濃度は、九大・高木が考案した測定法(PCT国際出願、JP01/02095)を利用した。本法は、HPLCにて試料をクロマト分離後に8OHdG濃度を電気化学検出、dGを紫外線吸光検出器で定量するもので、市販のELISA8OHdG測定キットより高感度(5000倍)で特異性が高い。しかしながら、データ検証のために同サンプルを市販のELISA法で測定したところ、ELISA法の方が約10倍程低値であった。(但し、相関係数は0.8以上)。また、8OHdG濃度は、クレアチニン補正値(8OHdG/クレアチニン)、dG補正値(8OHdG/dG)、NOx補正値(8OHdG/NOx)の何れとも高い相関性を維持していた。各ライフスタイル因子と、8OHdG関連指標との相関は、現在も引き続き統計解析中であり、最終的には、寄与度の高い因子をチョイスしてライフスタイルから遺伝子損傷リスクを推定するアルゴリズムの作製を目指す予定である。
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