本研究の目的は、1990年以降わが国で蓄積されている紫外域日射分光観測データを基に、国内5地域(札幌、金沢、つくば、鹿児島、那覇)の生体影響紫外線DUVを2000年までの毎日・毎時刻について求め、それらと一般の気象データである日射量、雲量、天気分類との相関関係を解析した上で、天気分類(快晴、晴、曇)に基づく紫外線許容被照時間数(分または秒数で表示)の推定手法を開発し、季節(月)および時間帯による許容被照時間数を提示することにある。平成13年度には、1)DUVデータに基づく紫外線許容被照時間数の算定、および2)天気分類による許容被照時間数の提示、を中心に解析を進めた。 平成14年度の研究成果は次のとおり。 1.DUVデータに基づく紫外線許容被照時間数の算定 WHOが提示している紫外線許容被曝量30J/m^2を基準として、前年度に整理したDUVデータから、5地域の許容被照時間数を算定した。全観測目について算定を実施し、算定時間帯は(1)正午前後、(2)午前9時前後、(3)午後3時前後、を取り上げた。これらの時間帯は気象庁が気象観測原簿データで雲量を記録している時間帯に相当する。 2.天気分類による許容被照時間数の提示 各時間帯の雲量と許容被照時間数との対応関係を解析し、簡明で判り易い「簡易天気分類」(雲量1.5未満を快晴、雲量8.5以上を曇、両者の中間を晴)に従って、地域毎の許容被照時間数を提示した。 3.研究成果のとりまとめ 1)算定した許容被照時間数を、(1)地域、(2)月、(3)時間帯、(4)天気分類、に基づくマトリックスとして統計的に(平均、偏差、最大、最小、出現確率など)表現した。 2)国内5地域の紫外線防御対策の相違を、季節・時間帯・天候を評価軸とする許容被照時間数のグラフを作成することにより明確とした。
|