研究目的:微量環境汚染化学物質の毒性評価として、微生物を用いた簡便かつ有効な評価法を開発する。 研究実施計画:ハロ酢酸の中でヒトへの肝機能障害が認められ、さらに環境中に検出されるジクロロ酢酸(DCA)、トリクロロ酢酸(TCA)、ジブロモ酢酸(DBA)およびトリブロモ酢酸(TBA)4化合物の細菌に対する生育毒性を研究した。次に試験の概略を示す。手指由来でLB培地さらにEC培地に増殖した、Escherichia coliを生育毒性試験に用いた。EC培地上のE..coliを標準寒天平板培地に十字状に塗沫する。中央部にペーパーディスクを置き、上記4化合物の1000、5000、10000mg/l水溶液をそれぞれ100μl滴下する。37℃、48時間培養後、生育毒性が認められた検体はその影響の距離的範囲を測定する(ディスク端からの上下左右距離の平均値;mm)。生育毒性が認められなかった検体については、ディスク周辺2mm囲内のコロニーを白金耳で取り1ml生理食塩水に分散させ、次の新たな標準寒天平板培地に十字状に塗沫し、前記同様の手順で試験を行い、結果の判定を行う。最大、5回の連続培養を行った。結果、substituents数の増加に伴い(DCA<TCA<DBA<TBA)、E.coliの生育毒性の強度が低下する成績が得られた。次年度は、Salmonella typhimurium TA100を用いたエイムス試験を行い、遺伝子毒性を考慮した毒性評価法との比較研究を進め、新開発法の妥当性を詳細に検討する。また、他の微生物種における生育毒性の発現も研究する。
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