研究概要 |
申請者らは、B細胞および単球に発現し、抑制性シグナルを伝達するヒトFcγ受容体IIb遺伝子(FCGR2B)に、膜貫通領域のアミノ酸置換をコードする多型I232Tを検出し、全身性エリテマトーデス感受性との関連を見出した。本研究計画では、このアミノ酸置換が蛋白レベルでおよぼす機能的影響を検討することが目的である。 本年度は、それぞれのアリル産物を発現するtransfectantを、以下のように作製した。まず、今後の実験を容易にするために、細胞外ドメインがマウスのFcγRIIbであり、膜貫通領域、細胞内ドメインが今回検出したそれぞれのアリルに対応するヒト型のFcγRIIbであるような組換え蛋白をコードする遺伝子を作製した。それぞれのアリルについて、FcγRIIbの二つのsplicing isoformであるIIB1, IIB2のそれぞれに対応するconstructを作製した。これらを、内在性FcγIIbを欠如したヒトB細胞株ST486に遺伝子導入した。この細胞に対する遺伝子導入は困難を極めたものの、最近、それぞれのアリル産物を発現するtransfectantが得られた。 これらの実験と平行して、本細胞株を用い、BCRのクロスリンクによるチロシンリン酸化解析系の条件設定を行った。また、機能解析系の一つとして用いる、cDNA microarrayのアッセイ系を、ほかの培養細胞を用いて、本研究室において確立した。
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