研究概要 |
申請者は、最近、HIF-1の拮抗装置としてIPASを発見しそのcDNAクローニングに成功した(Nature, 2001)。かかる独自の知見と実験システムを背景に、 1 RA滑膜組織におけるHIFおよびHIF-1標的遺伝子発現の解析を行った。RA滑膜組織におけるHIF-1, IPASの発現および局在解析、HIF-1, IPAS標的遺伝子の発現解析、からRA滑膜局所でのHIF/IPASシステムの発現・機能異常が明らかになった。 2 RA滑膜細胞培養系を用いたHIFシステムの解析 1)HIFシステム分子の発現・機能制御の分子機構の解析 2)RA滑膜特異的なHIF-1標的遺伝子の同定とその機能の解析 3)滑膜細胞のP53発現、アポトーシス、増殖に与えるHIFシステムの作用とその分子機構の解析 以上から、HIF-1-IPASシステムが滑膜細胞のアポトーシスと増殖に重要な役割を果たしていることが明らかになった。 3 恒常的活性型HIF-1αを発現する細胞株を作成しその細胞の特性を解析中である。 4 HIF-1, IPAS分子を発現するトランスジェニックマウスの作成 IPASならびにHIF-1のトランスジェニックマウス・ノックアウトマウスを筑波大学山本雅之教授と共同で作成中である。得られたら、RA関節炎モデルマウスであるTNF-αおよびHTLV-1taxトランスジェニックマウスとを交配、関節病変、他の臓器病変を解析し、RA病態形成におけるHIFシステムの意義を明らかにする。
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