研究概要 |
私共は、老人に対するインフルエンザワクチンが抗体価を上昇させ臨床効果を示す成績を報告した(Fukushima et al. J Am Geriatr Soc 47 : 259, 1999, Arch Intern Med 159 : 316, 1999, Arch Intern med 159 : 1258, 1999)。しかし、加齢と共に有病率が高くなりうつ状態の人が多くなる為、うつ状態の老人でインフルエンザワクチンの抗体価が上昇し、臨床効果を示すか否かは不明である。WHO勧告ではHigh riskの虚弱老人には積極的にインフルエンザワクチンを薦めているが、うつ状態の老人では有効がないかもしれない。本研究では、うつ状態をGDSで判別し、うつ状態の人の神経免疫能を調べ、これらの人にインフルエンザワクチンが効果をもたらすか否かを調査したところ、うつ状態の老人ではインフルエンザワクチンに対する抗体価は上昇せず、効果は少なくなる成績を得た。次年度は、これらの患者に心理的支援、理学療法及び薬物療法を行って、うつ状態を改善した場合、神経免疫能の改善と共にインフルエンザワクチンに対する効果が出てくるのか研究を行うことを目的とする。うつ状態の老人は感冒に罹患し易いが、うつ状態の加療により感冒罹患率が減少するのかについても研究を行う。
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