研究概要 |
これまで我々は心筋特異的転写因子であるCardiac-specific homeobox(CSX)の発現調節について、その近位プロモーター領域(965-bp)の心筋細胞内における高い活性と、その領域内の重要な転写調節部位を明らかにした(Shiojima et al.,BBRC 272,749-757,2000)。また、さらに上流のプロモーター領域(約3.0-kb)を単離し、心筋細胞内での転写活性を確認した。これらの心筋特異的転写因子CSXのプロモーター領域をGreen fluorescent protein(GFP)遺伝子の転写調節領域として用いることによって、GFPの発現により心筋細胞を識別することが可能になると考えられる。一方、遺伝子導入に際して、通常用いられるリン酸カルシウム法やリポフェクション法では心筋細胞への導入効率は低く、この問題を解決するためにアデノウイルスベクターを用いることとした。アデノウイルスベクターの作製にあたり、まずCSXプロモーター領域とGFP遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子を挿入したpHM5シャトルプラスミドを作製した。pHM5シャトルプラスミドにGFP遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子(neo)を含む遺伝子を挿入した(pHM5-GFPneo)。さらに、pHM5-GFPneoのGFP遺伝子上流に965-bpと3.0-kbのCSXプロモーター領域を挿入し、pHM5-CSX(965)-GFPneo、pHM5-CSX(3.0)-GFPneoを作製した。今後はCSXプロモーターとGFP遺伝子をアデノウイルスベクターpAdHM4に挿入し、心筋細胞で特異的にGFPを発現するアデノウイルスベクターを作製する予定である。
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