研究概要 |
臍帯血細胞にはさまざまな多分化能を持つ幹細胞が高頻度で含まれている。本年度の解析では臍帯血中に骨髄中に存在する心筋分化能を有する幹細胞と同様の表面抗原を持つ細胞の存在を確認した。臍帯血を培養皿に一定期間放置し、培養皿に接着する細胞を分離した。この細胞群より、MAC-1陽性のマクロファージをautoMAXにより除去した。分離した細胞を血清20%存在下で培養し、細胞数を増やした後、FACS解析した。この細胞は培養皿に接着する能力を有し、表面抗原としてCD29,CD44,CD73を有していた。一方、血球系マーカーであるCD13,CD45は発現していなかった。これらの細胞に対し、GFPを発現するレトロウイルスを感染させ、細胞をマーキングした。ラットの新生児心筋を初代培養した細胞の上に重層し、心筋細胞に分化するかどうかを観察した。心筋分化は抗心筋ミオシン抗体による免疫染色を用いて行ったが、細胞を重層させた状態では下層に存在する心筋細胞が蛍光を持つのか、上層に存在する臍帯血由来の幹細胞が蛍光を持つのかを断定することが出来なかった。現在、ヒト特異的遺伝子プライマーによる心筋特異的転写因子NKX2.5,GATA4,HAND1,HAND2遺伝子の発現のRT-PCR解析を行っており、これらの心筋分化能を改正中である。
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