研究概要 |
in vitroの研究においてゼラチンハイドロゲルにプラスミドが効率よく吸着、保持されるかどうかを検討し、放射性同位元素をラベルしたプラスミドの生体内での動態をプラスミド単独投与とゼラチンハイドロゲルに吸着させて投与した場合とで比較した。下肢虚血を作成した家兎において、ゼラチンハイドロゲルに吸着させた遺伝子の発現に関して,時間的、空間的広がりを色素を発現する遺伝子(lacZ)をマーカーとして検証した。 (1)プラスミドのゼラチンハイドロゲルによる吸着と保持の確認 500μg/mlの濃度でlacZプラスミドを含有する水溶液と粒子状ゼラチンハイドロゲルを混合、水溶液中のlacZプラスミド濃度を紫外吸光度法で経時的に24時間まで計測した。 (2)生体内でのゼラチンハイドロゲル吸着プラスミド活性の経時的変化 放射ヨード化したlacZプラスミドを含侵した粒子状ゼラチンハイドロゲルを1mlのPBSに分散させた群(A群),放射ヨード化したlacZプラスミドをそのままPBSに分散させた群(B群),そして放射ヨード化粒子ゼラチンハイドロゲル(C群)の各群5匹のマウスで、大腿筋肉内に上記のいずれかを筋肉内注射した。筋肉の放射活性を初期のそれと比較し、粒子状ゼラチンハイドロゲルがlacZプラスミドの生体内での徐放に有効であるかを明らかにした。 (3)ゼラチンハイドロゲルによる遺伝子の吸着は機能発現をどのように変化させるか 家兎の大腿動脈を除去して下肢虚血モデルを作成、10日後にlacZプラスミドを虚血部筋肉内に投与し、投与後2週間経過した時点で、虚血部筋肉組織についてlacZ遺伝子の発現の様子を調べた。まず直径200μm(膨潤時)の粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZプラスミド(500μg)を投与した場合について調べた。また、同様にしてlacZプラスミドの量を1/10または1/100に減らして粒子状アミノ化ゼラチンハイドロゲル結合lacZプラスミドを投与した場合についても調べた(lacZプラスミドの量で50μg、5μg)。対無として同量のプラスミド単独投与を行った。
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