気管支喘息において、アレルゲンの曝露や感染により生じるIL-4やIL-6などのサイトカインが気道組織の増殖や分化を引き起こし、それにより気道過敏性が成立する可能性が想定される。本研究の目的は、マウス胎仔未分化気道細胞群の培養系を確立し、外因性のIL-4やIL-6ファミリーサイトカインを添加した時の、培養気道組織に及ぼす影響について検討していくことである。 今年度は、昨年に引き続き、未分化マウス胎仔気道細胞群の培養系を確立することを目標にした。すなわち、胎生14日のマウス胎仔を開胸し、肺門部より末梢の肺内気管支を肺組織と一塊にして取り出した。培地内(RPMI)で組織を細かく破砕し、細胞をバラバラにし、10%FCS添加RPMIに細胞を浮遊させ培養した。培地交換を行いながら4日間培養し、各コロニーにおける細胞の形態変化を観察した。現在までに、固着培養細胞として、肺線維芽細胞の培養系が確立された。一方、成熟マウスの気道組織を、同様の手法を用いて培養した結果、肺線維芽細胞の培養系が確立できた。 肺線維芽細胞は、サイトカインのソースとして重要と考えられている。例えば、IL-4やTNF-αに反応して、エオタキシンやRANTESが産生されることが報告されている。現在、肺線維芽細胞にエオタキシンのプロモーター領域を有するリポータージーンを導入して、IL-4刺激に対するプロモーターアッセイを行っている。平成15年度には、上記で確立された細胞群を用いて、成熟度の違いによりエオタキシンのプロモーター活性の違いにつき検討していく予定である。
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