長期間にわたって全身型の非定型抗酸菌感染症の再燃をくり返し、インターロイキン-12受容体欠損症が疑われる症例(11才男児)において、末梢血のリンパ球サブセット、およびサイトカイン産生細胞の割合をフローサイトメトリーを用いて解析した。患児由来末梢血では、T、Bリンパ球分画の割合は正常範囲内であったが、活性化Tリンパ球の増加とNK細胞の減少が認められた。サイトカイン産生に関しては、インターロイキン-2、およびインターフェロンγ産生細胞の著しい減少が、CD4およびCD8陽性Tリンパ球の両分画に認められた。 患児末梢血Tリンパ球分画におけるインターロイキン-12受容体β1鎖とインターロイキン-2受容体α鎖の発現に関して、Phytohemagglutinin(PHA)刺激前後において、フローサイトメトリーを用いた解析を行った。その結果、患児末梢血CD4およびCD8陽性Tリンパ球上には、インターロイキン-2受容体α鎖の発現は正常に誘導されるにもかかわらず、インターロイキン-12受容体β1鎖の発現は全く認められなかった。同時に行った患児の両親および兄の末梢血Tリンパ球の解析では、インターロイキン-12受容体β1鎖の発現は正常であった。以上より、本患児はインターロイキン-12受容体β1鎖欠損症と診断された。次年度においては、患児末梢血Tリンパ球におけるインターロイキン-12受容体β鎖の発現をreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)法にて解析し、発現欠損の機序を解析する予定である。また最近、患児はインターフェロンγによる治療を開始されており、今後治療経過にともなうサイトカイン産生細胞とインターロイキン-12受容体β1鎖発現の変化についても経過観察を行う予定である。
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