研究課題/領域番号 |
13877149
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
河合 正好 浜松医科大学, 医学部, 助手 (30283352)
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研究分担者 |
森 則夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00174376)
武井 教使 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
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キーワード | アルツハイマー型痴呆 / 早期診断法 / ロールシャッハ・テスト / 認知機能 / ポジトロンCT / ブドウ糖代謝 |
研究概要 |
今回、我々はロールシャツハ・テストに工夫を加え、アルツハイマー型痴呆の前臨床段階における認知機能の変化を捉えるための簡便な方法(quantitative Rorschah test ; q-RT検査)を開発した。この方法を用いて、(1)アルツハイマー型痴呆の発症は無く、認知機能の低下も認められない健常高齢者、(2)アルツハイマー型痴呆の発症は無く、認知機能の低下が認められた高齢者、(3)アルツハイマー型痴呆を発症し、認知機能の低下が認められた高齢者の3群を対象として検査後のアルツハイマー型痴呆発症の頻度を観察した。(1)の群では検査後5年間に47名中8名(17%)が痴呆を発症し、(2)の群では検査後2.6年間に22名中21名(95.5%)が痴呆を発症した。 また、(1)群1名、(2)群1名、(3)群2名を対象として検査時にポジトロンCT(PET)検査を施行し、脳内各部位のブドウ糖代謝を測定した。その結果、アルツハイマー型痴呆を発症し認知機能の低下も認められた群では、健常者と比較して、頭頂葉で約60%、帯状回で約60%、側頭葉内側部で約50%、前頭葉で約50%のブドウ糖代謝の低下が認められた。一方、アルツハイマー型痴呆の発症は無いが認知機能の低下が認められた群では頭頂葉で約40%、帯状回で約40%、側頭葉内側部で約30%のブドウ糖代謝の低下が認められた。 これらの結果から、q-RT検査はアルツハイマー型痴呆の早期診断に有用である可能性が示唆された。さらに、PETの結果から、アルツハイマー型痴呆の臨床的な発症がなくても、q-RT検査で認知機能の低下が認められた例では、アルツハイマー型痴呆に特有の脳領域でブドウ糖代謝が低下していることが示された。
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