研究概要 |
平成13年度の状況において以下の実験進行状況である。 1)ヒト線維芽細胞を用いた実験で、タンジール病と正常者においてcholesterol effluxに差があることを確かめた。そしてcholesterol effluxに関わるABCA1(ATP binding cassette A1)の遺伝子変異部より、そのC末端部にもABCA1の機能上重要な作用があることを発見した(現在論文投稿予定)。 2)cholesterol effluxを広くコレステロール逆転送系の役割として認識するため、ラットにフィブラート系薬剤を投与して以下の実験結果を得ている。 (1)フィブラート剤の投与により、HDL-cholesterolの増加を伴う脂質代謝の改善がみられる。 (2)その時、肝細胞内のPPARα,LXRα,ABCA1のmRNAレベルでの増加がNorthern Blottingで確かめられた。一連の反応に関与するリガンドとして、肝細胞内で増加するオキシステロールを考えている。 (3)さらにこの系でコレステロールから胆汁酸合成における律速酵素となるステロール7α水酸化酵素(CYP7α)にも影響を与えている可能性を示唆する実験結果が得られている。 3)以上の経過より、平成14年度はヒトマクロファージ、ヒト線維芽細胞ラット肝でのカベオリンmRNAの分析に着手し、ヒト単球/マクロファージ、ラット肝の両面からABCA1とカベオリンの関与するコレステロール逆転送系を統合的に評価検討する予定である。
|