研究概要 |
実験計画にのっとり、コレステロールの逆転送系に関わる以下の諸因子につき、ラット(肝)、及びヒト(末梢血)からmRNAのレベルで検討が可能となった。 その項目は、アポ蛋白として、アポAI、アポE、膜受容体として、ABCA1、SRB1、Caveolin、核内転写因子としてLXRαの計6項目である。それを応用してこれまで以下の実験成果を得ている。 (1)ラットを用いた実験 クロフィブラートはPPARαのリガンドで、その投与により、PPARα-LXRα-ABCA1の経路が賦活され、コレステロール逆転送系が作動する。オキシステロールはLXRαのアゴニストとして働くが、ケトコナゾールはそのオキシステロールの生成をP450を介して抑制される。ケトコナゾールがクロフィブラートのp450を介した作用を抑制することを示した。それによりクロフィブラートのコレステロール逆転送系の賦活にオキシステロールを介した経路が関わっていることを示した。(Lipids投稿中) (2)タンジール病患者の実験 タンジール病は、ABCA1欠損により、HDL-Cが作られずCRTが破綻した病態を呈する。申請者は当科で経過観察中の本症患者の線維芽細胞を用いて、上述した方法を応用して以下の実験を行っている。すなわちコレステロールの引き抜き能と、ABCA1が完全欠損している病態において、その他のCRTにかかわる機能がどのように制御されているかを、Caveolin、SRB1、Apo Eの発現を通して検討中である。一部は論文として発表した(玉澤直樹ら.タンジール病患者のABCA1遺伝子異常(CTC3652-4TT→stop codon)とコレステロール引き抜き能の検討.The Lipid 14:99-103,2003)。
|