研究課題/領域番号 |
13877177
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
梶本 佳孝 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60301256)
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研究分担者 |
馬屋原 豊 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
山崎 義光 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40201834)
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キーワード | STAT3 / インスリン分泌 / 膵β細胞 / ノックアウトマウス / Cre-loxP / ブドウ糖負荷試験 / 耐糖能異常 / 肥満 |
研究概要 |
1)膵β細胞特異的STAT3ノックアウトマウスの作成 Cre-loxPシステムを用いてInsulm-CreマウスとSTAT3-loxPマウスを交配することにより、膵β細胞特異的STAT3ノックアウトマウスを作成することに成功した。膵島より単離したDNAを用いてPCRを行ったところSTAT3の一部が欠損したバンドを認め、これによりSTAT3が特異的にノックアウトされていることを確認した。 2)膵β細胞特異的STAT3ノックアウトマウスを用いた解析 A.各群マウスにおける耐糖能の変化の検討 現段階では随時血糖値に差はなく糖尿病を発症するには至っていないが、10週齢、25週齢に実施した腹腔内ブドウ糖負荷試験では、ブドウ糖負荷30分より120分まで血糖値がノックアウトマウスにおいて有意に高値を示した。同時にノックアウトマウスでは、グルコース負荷後早期のインスリン分泌反応(負荷30分後)が抑制されていた。また、6週齢よりノックアウトマウスにおいて体重が有意に増大したが、体重差がない5週齢の時点においても、腹腔内ブドウ糖負荷試験の結果は同様に耐糖能異常を示した。このことは、STAT3が何らかの形で早期のインスリン分泌に関与し耐糖能に影響を及ぼしていることを示唆するものである。 以上のように、膵β細胞におけるSTAT3ノックアウトはインスリン分泌不全に起因する耐糖能異常を来すことが明らかとなったので、平成14年度は、当初の予定通り、このインスリン分泌不全の詳細を、組織学的および生化学的検索を行うことにより解明していきたい。また、体重差についても、摂食量の増大が認められたことから、そのメカニズムについても検討を加えていく。
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