研究概要 |
実験1.Endotoxin toletance(ExT)誘導における交感神経系の関与 ExT誘導に交感神経系が関与するという先のラットのin vivo実験を発展させ,このことが細胞レベルでも認められるかどうか,RAW264cell lineを用いて調べた. 1)細胞にLPS10ngを加えて24時間培養した(LPS前投与)後,LPS100ngに暴露すると,Saline前投与と比鮫して培養液中のTNFα,IL-6濃度は減少し,ExTが成立した. 2)細胞にカテコラミンを加えてLPS前投与を行うと,ExT誘導が促進した. 3)LPS前投与にさらにβ-blockerを加えるとExTの誘導が低下した. 4)IL-10漉度はすべての群で測定感度以下であった. 結論:1)ExT誘導に交感神経系はβ受容体を介して関与している;2)IL-10の関与はない. 実験2.ExT誘導による手術侵襲反応軽減の試み ExTを誘導することにより手術侵襲反応を軽減することが出来るか,ラットで調べた. Wistar系雄性ラットを用いて,LPSを2日間,腹腔内投与し,ExTを誘導した(LPS群).LPSの代わりに生理食塩水を投与したラツトをSal群とした.この方法でExTが誘導されるのを確認した(TNFα産生抑制を指標)うえで,上記の2群を手術侵襲の有無でさらに2つに分けた.最初のLPS投与から5日目に頚静脈カニュレーションと開腹,腎切開縫合術をおこなった.カニュレーションのみを行った群をSham群とした.侵襲度(血漿IL-6, AST濃度)と蛋白代謝(手術後7日間にわたる窒素平衡)の評価をした. 1)手術侵襲により増加した血漿IL-6濃度,AST濃度は,LPS前投与で減少した. 2)手術侵襲で窒素平衡は明らかに不良となったが,LPS前投与により改善した. 結論:ラットにおいてExと手術侵襲とは交叉耐性をおこす.
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