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2002 年度 実績報告書

LPS中和能を有する抗菌ペプチドによる敗血症治療の新たな試み

研究課題

研究課題/領域番号 13877192
研究機関順天堂大学

研究代表者

長岡 功  順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)

研究分担者 平田 陸正  岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20048359)
小林 滋  順天堂大学, 医学部, 講師 (70301497)
キーワード殺菌ペプチド / Cathelicidin / LPS / エンドトキシンショック / マクロファージ / サイトカイン / TNF-alpha / CD14
研究概要

目的:敗血症は救急救命治療の発達した先進国においてもいまだ高頻度に致死的経過をたどる重篤な病態であり、その多くにグラム陰性菌が関与している。本研究は、殺菌作用に加えて、LPS中和能を有する抗菌ペプチドを用いることによって新たな敗血症治療法を開発することを目的としている。平成13年度は、cathelicidinファミリーの殺菌ペプチド・ヒトLL-37およびモルモットのCAP11のエンドトキシンショックにおける作用メカニズムを明らかにした。しかし、敗血症治療への臨床応用を目的とした場合、より低分子で活性の強いペプチドを検索する必要がある。そこで、平成14年度は、アミノ酸を置換した種々のペプチド誘導体を合成し、それらのLPS中和能について検討した。
方法:LL-37の18mer(K^<15>からV^<32>)のE^<16>とK^<25>をLに置換することによって疎水性を高めたLL誘導体を、さらに、Q^<22>、D^<26>およびN^<30>をそれぞれKで置換することによって親水性を高めたLLKKK誘導体を合成した。
結果:ペプチド誘導体はいずれもLPS結合能を有していたが、中でもLLKKK誘導体が、最も強くLPSを認識し、LPSのCD14陽性細胞RAW264.7への結合とLPS刺激によるTNF-α生成を阻害した。また、エンドトキシンショックモデルにおいて、LLKKKが最も強くLPSのCD14陽性細胞への結合を阻害し、サイトカイン生成を抑制することによってマウスの死亡率を低下させた。
考察:LPSは、脂肪酸鎖による疎水性ドメインと、糖鎖およびリン酸基から成る親水性ドメインをもつ両親媒性物質であり、特にリン酸基やケト-デオキシ-オクトン酸などのマイナス荷電が、その生物活性の発現に重要とされている。今回の結果から、LLの置換によって疎水性を高め、さらに、KKKの置換によってプラス荷電を高めたLLKKK誘導体が、最も強いLPS中和作用を示したことから、LPSと結合して、その作用を中和するには、殺菌ペプチドの疎水性と親水性(プラス荷電)の程度やバランスが重要であると考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Isao Nagaoka et al.: "Augmentation of the lipopolysaccharide-neutralizing activities of human cathelicidin CAP18/LL-37-derived antibacterial peptides by replacement with hydrophobic and cationic amino acid residues"Chinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 9・5. 972-982 (2002)

  • [文献書誌] 長岡 功: "Cathelicidinファミリーの殺菌ペプチドLL-37,CAP11のLPS中和作用"炎症・再生. 22・2. 131-138 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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