マイクロプローブ染色装置を用いた肝移植後リンパ増殖性疾患の迅速診断

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13877198
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 菅原 寧彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (90313155)
• 研究分担者: 幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
• キーワード: EBER ISH / マイクロウエーブ染色装置 / 移植後lymphoproliferative disease

研究概要

当院では平成6年1月より、平成15年1月まで209例の生体肝移植を施行しており、退院後は全例外来でフォローしている。Epstein-Barrウイルス(EBV)によるBリンパ球増殖症は、術後1ヶ月後以降好発し、5-10%のレシピエントにみられる、日和見感染症である。頻度的にはウイルス感染症として、サイトメガロウイルスについで二番目であるが、重篤化すると致死率が高いことと、特異的治療法が一般的にないことから、移植患者にとってもっとも警戒すべき感染症の一つである。
当科では発熱、咽頭痛、リンパ節腫大、肝脾腫などの臨床症状およびEBVのvirus capsid antigen値および末梢血リンパ球のEBV encoded small nuclear RNA( EBER)のin situハイブリダイゼーション(ISH)の所見にてEBV感染症の診断をしてきた。しかし、前者では特異性に乏しく、後者では時間がかかりすぎ(3日以上)、入院させても、しばらくEBV感染症の診断ができず、EBVに対する初期治療さえままならないという状況が続いている。
informed consentを得た肝移植外来患者より後、2ml採血を行い、マイクロウエーブ染色装置を用いてEBERISHを行った。Proteinkinase Kの至適濃度、スライドガラスに固定した検体を浸ける時間、パラフォルムアルデヒドに固定する時間を検討し、EBER ISH従来法、キット法と比較してマイクロウエーブ染色装置を用いた方法に整合性があることを確認した。

研究成果

• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Takayama T, Imamura H: "Right lateral sector in adult living related liver transplantation"Transplantation. 73・1. 111-114 (2002)
• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Sano K, Ohkubo T, Kaneko J, Imamura H: "Duct-to-duct biliary reconstruction in living-related liver transplantation"Transplantation. 73・37. 1348-1350 (2002)
• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Kaneko J, Ohkubo T, Matsui Y, Imamura H: "New venoplasty technique for the left liver plus caudate lobe in living donor liver transplantation"Liver Transplant. 8・1. 76-77 (2002)
• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Takayama T, Imamura H: "Safe donor hepatectomy for living related liver transplantation"Liver Transplant. 8・1. 58-62 (2002)
• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Sano K, Ohkubo T, Kaneko J, Imamura H: "Left liver plus caudate lobe graft with complete re-vascularization"Surgery. 132・5. 904-905 (2002)
• [文献書誌] Sugawara Y, Makuuchi M, Takayama T, Imamura H: "Living donor liver transplantation in a HIV positive patient with hemophilia"Transplantation. 74・11. 1655-1656 (2002)