研究概要 |
本研究は,従来の脳病変核医学診断における投与後後期の静止画像に加えて,トレーサーの超早期動態,拡散,流体速度場に関して脳病変の組織構造解析を行うことで,脳病変の特異診断法の確立を目指すことである. 脳腫瘍例を対象に,^<18>F-fluorodeoxyglucose positron emission (FDG-PET)画像を用いて,通常の40分後の静止画像とともにFDG注入後2分間隔で4回,その後5分間隔で6回,総計38分間10回の早期スキャンを行った.これらの画像は流体解析システム(AV-FLUID-1,Image Sense, Tokyo)でトレーサーの拡散分布の面から解析された.その結果,正常脳組織ではトレーサーが経時的に均衡を保って集積しているのに対して,腫瘍部では早期から血流の分布にしたがって拡散し,その後に経時的にトレーサーが局所的に集積することが判明した.後期の画像は腫瘍活性の代謝に関連した集積であり,腫瘍の分布不均一性とともに生物学的代謝高活性部位を表しているものと推定された.今後,腫瘍部における拡散分布の不均一性の定量化と病勢や機能予後に関した研究を進める予定である.
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