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2002 年度 実績報告書

神経膠腫におけるテロメラーゼ活性の発現とその制御機構:抗腫瘍療法としての検討

研究課題

研究課題/領域番号 13877232
研究機関日本大学

研究代表者

吉野 篤緒  日本大学, 医学部, 講師 (50256848)

研究分担者 福島 崇夫  日本大学, 医学部, 助手 (20350019)
片山 容一  日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
キーワード悪性神経膠腫 / インターフェロン / テロメラーゼ活性 / IRF
研究概要

神経膠腫に対するInterferon-β(IFN)の有効性は確立されている。特にIFNとニトロソウレア系抗癌剤であるACNU、そして放射線療法を組み合わせたIAR療法は悪性神経膠腫に対する最もスタンダードな術後療法である。しかし、IFNの抗腫瘍効果については不明な点が多い。近年、免疫能を介した間接作用ばかりでなく直接作用も確認されてきている。そこで、脳腫瘍培養細胞を用いてIFNの直接効果とともに、細胞増殖と不死化の鍵を握るテロメラーゼ活性に対する作用について検討を進めた。
1、悪性神経膠腫細胞の検討
(1)検討に用いる悪性神経膠腫培養細胞の選出:テロメラーゼ活性の違いならびにIFN-α/β receptor*の違いにより、U-87MG(テロメラーゼ活性:弱発現、receptor:強発現)、T98G(強、強発現)、A172(強、弱発現)の3種類の培養細胞を選びだした。*IFNはIFN-α/β receptorを介して効果を発現するとされている。
(2)同悪性神経膠腫培養細胞の遺伝子変異の確認:U-87MG:p14^<ARF>/p16 deletion and PTEN mutation. T98G : TP53,PTEN mutation and p14^<ARF>/p16 deletion. A172:p14^<ARF>/p16 deletion and PTEN mutation.
2、IFNの効果の検討
(1)MTT assayによるIC_<50>:U-87MG:0.2X10^5 IU/ml. T98G:0.02X10^5 IU/ml. A172:0.5X10^5 IU/ml
(2)テロメラーゼ活性(PCR-ELISAによる定量):IFN投与後、テロメラーゼ活性の低下をすべての細胞に認めた。また、テロメラーゼ活性値と増殖細胞数は相関した。
(3)apoptosisの確認(Cell Death Detection ELISAを使用):IFNの効果に相関してapoptosis細胞が出現。
3、IFN cascadeの確認(Western blot analysisによるInterferon regulatory factors(IRFs)**の変化) 効果に相関してIRF-1がup regulateすることを確認。**IFNのcascadeとしてIRFsが知られている。
以上より、IFNはテロメラーゼ活性を抑制すると共に、p53、p14^<ARF>/p16、PTENを介さずapoptosisを誘導することにより抗腫瘍効果をもたらすものと考えられた。また、IRF-1が重要なcascadeのひとつであると考えられた。
今後、さらなるcascadeの検討を行い、IFNの悪性神経膠腫細胞に対する直接を解明していきたい。そのことがテロメラーゼ活性の発現と制御機構の解明にもつながるものと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 福島 崇夫, 渡辺 学郎, 吉野 篤緒, 他: "下垂体腺腫におけるテロメラーゼ活性の生物学的意義"日本内分泌学会雑誌. Vol.77 Suppl. 106-109 (2001)

  • [文献書誌] Fukushima T, Yoshino A, Katayama Y, et al.: "Prediction of clinical course of diffusely infiltrating astrocytomas from telomerase expression and quantitated activity level"Cancer Letters. 187. 191-198 (2002)

  • [文献書誌] 福島 崇夫, 渡辺 学郎, 吉野 篤緒, 他: "テロメラーゼ活性を用いたastrocytic tumorsの臨床経過の予測ポストシークエンス時代における脳腫瘍の研究と治療"九州大学出版会. 57-61 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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