本研究の目的は、慢性圧迫障害にさらされた脊髄において発現に変化の起こる遺伝子を同定することにより、慢性圧迫性脊髄障害の病態を解析し、脊髄に対して増悪を促進する因子あるいは回復促進的に働く因子を同定することである。 cDNAマイクロアレイを用いて慢性圧迫脊髄における遺伝子発現解析を行うため、本年度は実験試料の調整を行った。慢性圧迫性脊髄障害のモデルであるttwマウス(ttw/ttw)と野生型ttwマウス(+/+)を6週令で購入し、20週令または30週令まで飼育した後、全身麻酔下に頚髄を摘出しtotalRNAを抽出、これをpolyA-RNAに調整した。各群20匹以上を使用し、totalRNAとしてそれぞれ500μg以上をストックした。 また、遺伝子発現部位の確認実験としてin situ hybridyzationを行うための組織切片の作成を行った。20週令および30週令のttwマウス各群10匹を用いて、全身麻酔下の灌流固定の後、頚髄を摘出し、パラフィン包埋し、頚髄の組織切片用標本を作成した。 今後、マウスbraincDNAライブラリーから作成したcDNAマイクロアレイを用いて、ttwマウスと野生型マウス2群間で発現量の異なる遺伝子を検出する。発現量に変化の見られた遺伝子について、RT-PCRおよびノザンハイブリダイゼーションにより確認実験を行う。また、in situ hybridyzationにより、脊髄横断面上の発現部位を同定する計画である。
|