本研究の目的は、慢性圧迫障害にさらされた脊髄において発現に変化の起こる遺伝子を同定することにより、慢性圧迫性脊髄障害の病態を解析し、脊髄に対して増悪を促進する因子あるいは回復促進的に働く因子を同定することである。 cDNAマイクロアレイを用いて慢性圧迫脊髄における遺伝子発現解析を行うため、6週令で購入した慢性圧迫性脊髄障害のモデルであるttwマウス(ttw/ttw)と野生型ttwマウス(+/+)を、20週令または30週令まで飼育した後、全身麻酔下に頚髄を摘出しtotal RNAを抽出した。 マウス神経幹細胞由来cDNAライブラリーから作成した2304個の遺伝子を乗せたcDNAマイクロアレイを用いて、ttwマウス脊髄と野生型マウス脊髄2群間で発現量の異なる遺伝子を検出した。その結果、ttwマウス脊髄において、2倍以上発現量の増加した遺伝子が2個、2倍以上発現量の減少した遺伝子が2個検出された。これらの遺伝子について、RT-PCRにより発現量の確認実験を行った。 今後、これらの遺伝子について、in situ hybridyzationによる脊髄横断面上の発現部位の同定や、遺伝子導入による機能解析を行う予定である。
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