研究課題
母体に合併症のない症例において分娩時に両親の同意を得た後、臍帯血をヘパリン加採血した。Percoll(1.080g/ml)を用いた比重遠心法で単核球を分離した。分離した単核球をプラスチックディッシュに播種(1×10^6cells/cm^2)し20%ウシ胎児血清を含むダルベッコMEM培地を用いて培養を行った。培養によりプラスチック接着性細胞の存在と、コロニーの形成が観察された。経時的な細胞形態を観察すると線維芽細胞様のものと骨芽細胞様の細胞形態を持つ細胞が存在していた。また、採取、分離した単核球の表面抗原を調べた。今回は造血幹細胞のマーカーの一つであるCD34と間葉系幹細胞のマーカーの一つであるCD105の発現をフローサイトメトリーを用いて調べた。さらに磁気ビーズ分離システムを用いてCD105陽性細胞を分離して培養を行った。これにより、単離した細胞中にはCD34陽性細胞、CD105陽性が存在すること、CD105陽性細胞を選択的に分離可能であることが分かった。以上のことから、臍帯血には間葉系幹細胞が存在すること、磁気ビーズ分離システムを用いて選択的に間葉系幹細胞を単離が可能であることが分かった。今後、詳細な遺伝子レベルでの細胞の観察をするとともに、in vivoでの軟骨細胞への分化誘導と実験動物を用いてin vitroでの評価を行う予定である。さらに、同じ細胞を用いて骨芽細胞への分化誘導も行う予定である。