研究概要 |
強力な血管拡張性のペプチドとして報告されたアドレノメデュリン(AM)のヒト関節軟骨内での分布およびその作用について研究した。 (目的) 1 ヒト関節軟骨におけるアドレノメデュリンの存在・発現 (1)アドレノメデュリンの存在・作用の検討 (2)アドレノメデュリンの軟骨細胞におけるmRNAの発現およびレセプターの確認 2 軟骨再生の制御 3 滑膜細胞における作用 (結果) 1(1)ヒト関節軟骨におけるアドレノメデュリンの存在をin situ hybridizationで確認し,強く染まった。 2(2)アドレノメデュリンの軟骨細胞におけるmRNAの発現およびレセプターの確認polymerase chain reaction(PCR)を用い、硝子軟骨内にAMおよびそのレセプターとされるreceptor activity modifying protein(RAMP)-1,-2and-3およびcalcitonin receptor-like receptor(CRLR)の発現を認めた。 2 軟骨再生の制御に関し、軟骨細胞は継代を重ねる上で脱分化を起こすため、その過程におけるAMの作用を比較検討したところcAMPを増加させ、MAP kinase系を刺激し、脱分化を抑制することがわかった。 3 滑膜細胞における作用と検討するため関節リウマチ、正常人と変形性関節量の滑膜を比較検討した。関節リウマチの検体より、血液内のアドレノメデュリンの量は正常人の1.8倍、関節液においては変形性関節症の2倍、さらに滑膜組織においては5倍のアドレノメデュリンの含有量を示す。 4 ヒト正常軟骨においては、その検体不足のため(primary cultureが必要)なため細分化させた後にコラーゲシII産生を確認した上で作用を検討中である。
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