低酸素に応答し蛍光を発する細胞の作成 目的 生きた細胞を顕微鏡で観察する際、低酸素にすると蛍光を発するよう工夫し、低酸素応答が一目でわかるようにする。 方法 蛍光はクラゲよりとられた遺伝子を使用し、低酸素に対する応答はエリスロポイエチンのものを利用する。腎臓の細胞や肝臓由来のある種の腫瘍細胞は、低酸素に応答してエリスロポイエチンを産生するので、この遺伝子とクラゲ由来の遺伝子GFPを置き換える。このような遺伝子構造の細胞を作成し、蛍光顕微鏡下に観察した。また、エリスロポイエチン発現調節に関与するエンハンサーを取り出し、代謝系の酵素LDHのプロモーターと組み合わせる。これにより一般の腫瘍細胞での発現を試みた。さらにエンハンサーをいくつか並べ、最小のプロモーター単位と組み合わせて、より制御された強い発現を期待した。 結果 エリスロポイエチンを利用した系では、用いた腫瘍細胞自体が低酸素下の操作に弱く、低酸素暴露の後、再び培養し続けることが困難であった。 代謝系の酵素LDHを利用した系では、低酸素に対する応答が十分には得られず、目的には適さないと思われた。 以上をふまえ、三番目の系での実験を試みている最中である。
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